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下塗り・中塗り・上塗りの役割とは?塗装工程を正しく理解して品質を守る

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「3回塗る」には、ちゃんと理由がある

塗装工事の仕様書に「下塗り・中塗り・上塗りの3工程」と記載されているのを見て、「なぜ1回ではダメなのか」と疑問に思ったことはありませんか?

実は、それぞれの工程にはまったく異なる役割があります。どれか一つを省略したり、順番を変えたりすると、塗装本来の性能が発揮できません。

今回は、塗装工程の基本である下塗り・中塗り・上塗りの役割と、それぞれの工程で重要なポイントを解説します。

塗装工程の全体像

塗装工事は、素地調整(ブラスト加工)を起点に、下塗り・中塗り・上塗りの順で進みます。

  1. 素地調整(ブラスト加工)
  2. 下塗り(プライマー)
  3. 中塗り(エポキシ系など)
  4. 上塗り(仕上げ塗料)

各工程が連携して初めて、塗装システムとして機能します。どの工程が欠けても、塗膜全体の性能は低下します。

素地調整(ブラスト加工)が最初の鍵

塗装工程の話をする前に、まず前提として押さえておきたいのが素地調整です。

どれだけ高性能な塗料を使っても、下地の素地調整が不十分では塗膜は密着できません。ブラスト加工によるISO8501-1基準の除錆度確保と適正な表面粗度(Rz値)の形成が、塗装品質の出発点です。

ブラスト加工している男性

下塗り(プライマー)の役割

下塗りは、素地調整後の鋼材に最初に塗布する塗料です。その主な役割は以下の2つです。

  1. 防錆性能の発揮:下塗り塗料に含まれる防錆顔料が鋼材表面を保護し、水分・酸素・塩分の浸入を防ぎます。重防食仕様ではジンクリッチプライマー(有機・無機)が採用されることが多く、亜鉛の犠牲防食効果によって長期防錆性能を発揮します。
  2. 素地への密着:ブラスト処理で形成されたアンカーパターンに塗料が食い込み、塗膜の機械的な密着力を確保します。

下塗りで特に重要なのは、ブラスト後4時間以内に塗装することです。ブラスト後の鋼材は活性化しており、時間が経つほど再錆が始まります。アイエムショットでは同一工場内でブラストから塗装まで一貫対応しているため、この条件を確実に満たすことができます。

中塗りの役割

中塗りは、下塗りと上塗りの間に塗布する工程です。主な役割は以下の3つです。

  1. 膜厚の確保:重防食塗装では塗膜全体の厚さが防食性能を左右します。中塗りで必要な膜厚を積み上げることで、塗装システムとしての耐久性を確保します。
  2. 層間密着の確保:下塗りと上塗りをつなぐ接着層としての役割を担います。中塗りが適切に施工されることで、層間剥離を防ぎます。
  3. バリア性能の向上:エポキシ樹脂系塗料が広く使用されており、耐水性・耐薬品性・耐浸透性が高く、防食バリアとして機能します。

中塗りで重要なのは乾燥時間の管理です。前工程の塗膜が十分に硬化する前に次の工程を行うと層間剥離が起きます。仕様書に記載された塗り重ね間隔の最小・最大時間を守ることが必須です。

上塗りの役割

上塗りは最終仕上げの工程です。主な役割は以下の2つです。

  1. 耐候性・耐紫外線性の確保:屋外環境での紫外線・雨水・温度変化による塗膜劣化を防ぎます。ウレタン樹脂系・フッ素樹脂系塗料が広く使用されており、長期間にわたって美観と防食性能を維持します。
  2. 美観の確保:製品の色調・光沢を決定する工程です。発注仕様で指定された色・光沢に仕上げます

上塗りで注意が必要なのは、上塗りだけが劣化しても下塗り・中塗りが健全であれば上塗りのみ再塗装することができる点です。定期的なメンテナンスで上塗りを補修することで、塗装システム全体の寿命を延ばすことができます。

各工程の省略・手抜きが招くトラブル

下塗りを省略・薄くした場合

防錆性能が大幅に低下し、鋼材への水分浸入から錆が発生します。見た目には正常に見えても、数年後に塗膜の浮き・剥がれとなって表面化します。

中塗りを省略・薄くした場合

膜厚不足により塗装システムとしての耐久性が確保できません。また層間密着不良が起き、上塗りが層ごと剥がれる層間剥離が発生します。

乾燥時間を守らない場合

工期短縮を目的に乾燥時間を省略すると、溶剤が揮発しきらないまま次の塗装が行われ、塗膜内に気泡・ピンホールが発生します。これが腐食の起点になります。

膜厚管理の重要性

各工程での乾燥膜厚(DFT)は、塗装仕様書に数値で指定されています。

膜厚が不足すると防食性能が低下し、過剰だと塗膜のひび割れや剥離の原因になります。各工程後に膜厚計で実測・記録することが、品質管理の基本です。

※画像は測定イメージ

アイエムショットでは各塗装工程後に膜厚測定を行い、施工記録として残しています。品質の根拠を数値でお伝えできる体制を整えています。

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