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ショットブラスト加工で使う「玉」とは?スチールショットの種類・サイズ・選び方を解説

スチールショット

ショットブラスト加工と聞くと、多くの方は「金属の表面をきれいにする加工」というイメージを持つと思います。しかし、その仕上がりを実際に左右しているのは、装置そのものよりも、加工中に高速で打ち込まれる無数の小さな「玉」です。

この「玉」は一般に「スチールショット」と呼ばれ、種類やサイズによって除錆力や仕上がりの粗さが大きく変わります。本コラムでは、ショットブラスト加工で使われる玉の正体から、種類・サイズの選び方、寿命の目安まで解説します。

ショットブラストの「玉」=スチールショットとは

なお「玉(丸い粒)」自体は素材を問わない呼び方で、ガラス製の丸い投射材(ガラスビーズ)なども含まれます。本コラムでは、ショットブラスト加工で最も一般的に使われる、鋼鉄製の丸い玉について解説します。

ショットブラスト加工で使用される「玉」は、鋼鉄でできた球形の粒子で、正式には「スチールショット」と呼ばれます。インペラ(羽根車)式の設備は、角のある投射材を使うと羽根車自体が摩耗してしまうため、構造上、主にこの丸玉(スチールショット)を投射材として使用し、設備内で循環させながら繰り返し使うのが特長です。

一方、圧縮エアで吹き付けるエアブラスト方式では、スチールグリッドなど角のある投射材が使われることが多く、丸玉が主体となるインペラ式とは使用する投射材の傾向が異なります。いずれの方式も、高速で金属表面に衝突させることでサビやスケール、旧塗膜を機械的に除去する点は共通しています。

スチールショット
SS(Structural Steel:ストラクチュアルスチール)丸玉
硅砂(サンド)

素材が「珪砂」などの鉱物系ではなく金属である点が、サンドブラストとの大きな違いです。金属製のため密度が高く、一度に大きな衝撃エネルギーを加えられることに加え、破砕されにくいため繰り返し使用できるという特長があります。

玉の作られ方と種類

スチールショットには、主に製法の異なる2つのタイプがあります。

鋳鋼製ショット

溶かした鋼を水や空気で急冷しながら球状に凝固させて作られる玉です。丸みを帯びた形状で、表面に均一な当たり方をするため、素材を傷めにくく、なめらかな梨地に仕上げやすいのが特長です。当社でも主にこちらのタイプを使用しています。

カットワイヤーショット

鋼線を一定の長さに切断し、それを研磨・球状化して作る玉です。鋳鋼製に比べて粒の均一性が高く、耐久性にも優れる傾向がありますが、製法上、コストが高くなる場合があります。

このほか、玉の角を意図的に立たせた「グリット(グリッド)」と呼ばれる多角形状の投射材もあります。玉(丸形)が「なめらかに磨く」加工に向くのに対し、グリットは「鋭く削る」加工に向いており、求める仕上がりによって使い分けます。

玉のサイズ(号数)と粗さの関係

スチールショットは、直径ごとに号数(サイズ)が細かく規格化されており、号数によって加工結果が変わります。

  • 大きい玉:除錆・スケール除去のパワーが強く、短時間で厚い錆や旧塗膜を落とせる一方、表面の凹凸(粗さ)はやや大きくなる
  • 小さい玉:衝撃はマイルドで、より均一で滑らかな梨地に仕上がるが、厚い錆の除去には時間がかかる

どのサイズを選ぶかは、素材の状態(錆の厚み、旧塗膜の有無)、そして後工程の塗装で求められる表面粗さ(アンカーパターンの深さ)によって決まります。塗装仕様書がある場合は、指定された除錆度や粗さ基準に合わせて玉のサイズを選定することが重要です。

玉はどれくらい使える?寿命と補充の仕組み

スチールショットはガラスやサンド(硅砂)などと違い、繰り返し使用できることが大きなメリットです。ただし、使用を重ねるうちに角が取れたり、割れて小さくなったりして、徐々に性能が落ちていきます。

現場では、使用済みの玉を回収し、ふるい(スクリーン)にかけて摩耗しすぎた粒や割れた粒を取り除きながら、新しい玉を継ぎ足して品質を維持する「補充管理」が行われます。この管理を怠ると、粒径のばらつきが大きくなり、仕上がりの品質が安定しなくなるため、投射材の管理体制も業者選びの隠れたチェックポイントといえます。

玉(スチールショット)を使うメリット

  • 珪砂と違い粉塵の発生が少なく、作業環境や周辺への影響を抑えやすい
  • 破砕されにくく再利用できるため、投射材コストを抑えやすい
  • 均一な粒形状により、安定した表面粗さを得やすい

なお、かつて広く使われていた珪砂(サンド)は、粉塵の吸入による健康被害(じん肺)のリスクから、2007年4月よりISO・JISの規格から除外されています。安全性の観点からも、スチールショットなど代替の投射材を用いるのが現在の標準的な考え方です。アイエムショットでも珪砂(サンド)は使用しておらず、安全性の確認された投射材のみで施工しています。

まとめ

ショットブラスト加工の仕上がりを決めるのは、装置だけでなく「玉(スチールショット)」の種類・サイズ・管理体制です。

  • 玉には鋳鋼製・カットワイヤー製があり、それぞれ特性が異なる
  • 玉のサイズによって除去力と表面粗さのバランスが変わる
  • 使用中の玉は摩耗するため、継続的な補充・管理が仕上がりの安定性を左右する

アイエムショットでは、防錆管理士が在籍し、素材や後工程の塗装仕様に応じた投射材の選定・管理を行っています。「どの玉が自社の製品に合うか分からない」という段階でも、お気軽にご相談ください。

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